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業務経験を活かし、復興計画の進行管理業務を改善 NEC→福島県浪江町 復興推進課 復興企画係 陣内一樹氏

東京の大企業から、浪江町役場へ。着任のきっかけを教えてください。

「民間企業と行政で文化の違いはありますが、企業での経験が活きている」と陣内さん

「民間企業と行政で文化の違いはありますが、企業での経験が活きている」と陣内さん

大学卒業してから6年間、NECで事業管理の部署で働いてきました。大企業のスタッフ部門ということで現場ではなかったので、社会と密接につながるような仕事をしたい、という思いがありました。そうした思いから、東京にいるときも社会的企業への経営支援を行うNPOの活動に参加するなどしていました。

そんな中、ETIC.の実施している「みちのく仕事」を通じて浪江町の募集に出会いました。直接関わってはいませんでしたが、被災地は課題先進地域と言われていますが、これから日本が直面する課題の解決へ向け、何か新しいことが起こるのではと思っていました。社内に相談、調整の結果、NECから経団連を通じ復興庁へ出向。浪江町に駐在し、業務に従事しています。

大きな環境の変化による不安や難しさはありませんか。

最初は具体的な仕事内容が想像できていなかったので、自分の経験やスキルが行政の職場にマッチするのかが不安でした。しかしそこは浪江町との間にETIC.の方が入り、僕のスキルと浪江町の必要業務の擦り合わせをお願いすることで、結果的にうまくマッチングして頂くことができました。

2013年4月の着任後、どのような業務を担当されていますか?

町の定めた復興計画の進行管理が僕の仕事です。NECでも事業管理を行っていたので、自身の経験と近い業務がアサインされた形です。昨年秋にできた復興計画では、約400の施策が記載されています。外部からのコンサルタントを入れるのではなく、多くの住民の方とともに膨大な時間の対話を重ねてつくりあげた復興計画です。役場内での進行管理も当然必要ですが、住民の方々に対しても適宜進捗を共有して行くことが大切です。

具体的には、帳票の再設計や決定プロセスの仕組み化、業務全体の見える化などを行いました。決めた通りいったか・いかなかったかを確認するような「評価」の形で行っていた進行管理を、一つひとつの成果に対して互いにフィードバックを与えながら、モチベーションを高めて復興を推進できるようにブラッシュアップを進めています。

7月からは、その進行管理に町民の方も参加して頂けるようになりました。部会には25名程度の町民が参加されるのですが、その事務局も担当しています。会議の目的は単なる進捗管理だけでなく、復興計画の方向性の確認や、町民の具体的なニーズの吸い上げ、さらに町民協働施策の可能性の模索、といったものも含まれます。関係者も多く大変ですが、町民がこうしたプロセスに関わった方がいいと思っているので、やりがいがあります。

もうすぐ着任から半年になります。率直なご感想を聞かせてください。

受け入れの担当となった復興推進課の蒲原係長(中央)、昨年同じく東京から浪江町に勤務開始したふるさと再生課の菅野さん(左)と

受け入れの担当となった復興推進課の蒲原係長(中央)、昨年同じく東京から浪江町に勤務開始したふるさと再生課の菅野さん(左)と

すぐに直面したのは、東京や民間企業との様々な違いでした。以前は目標とするターゲット数字は明確で、実施にあたってはスピード感が強く求められ、ビジネスの判断の多くは数字をベースにできました。ただしここでの仕事は、進むべき道も明確にしきれないところがあり、見ている町の未来は5年10年先のもの。コミュニティとしてさまざまな人間関係もあります。どちらが良いというのではなく、文化が違う。一律にビジネスのしくみを持ってくるのではなく、いかに双方がフィットする形で復興を前に進められるのか、大きなチャレンジです。

また、被災地では行政に対するニーズが特に高いと感じています。例えば広報誌の役割は東京とは比べ物にならないほど大きいです。国や県もありますが、最終的に基礎自治体が町民の生活に大きな責任を持っています。特に福島は復興の進みを実感しづらい環境にありますが、日々まわりにはその状況に真摯に向き合おうとしている同僚がいること、自身が新しい社会づくりに関わっていると言う手応えがあること、それが何よりのやりがいです。

生活環境はいかがですか?

私の職場は二本松にあるのですが、自宅から片道6kmを自転車で通勤しながら、毎日田舎ののどかな風景を楽しんでいます。雨の日は別ですが笑。スーパーもあるし、これといって困ることはありません。もちろん、そもそも周りに知り合いがいない場所に単身来ているというのはあります。幸い、週末はETIC.の行うイベントや視察に参加したり、会社に業務報告に戻ったりと予定は埋まっていくので、寂しくは感じていません。皆さん人がいいので助けられている気もします。都心みたいにピリピリしていませんから笑。

今後について教えてください。

これから浪江町では、復興公営住宅ができていきます。コミュニティが仮設からまた新たな場所でつくられることになります。それに合わせ町でしていかなければならないことも多くありますし、各事業が円滑に進むよう、今の進行管理の業務をしっかりやっていくことが第一です。また個人としては、さらに町内の情報共有を進めるとともに、若手同士なり、町民の方となり、色々なつながりを強めていければと思っています。

この半年、違う角度からものごとを見られるような機会をもらったと感じています。行政と民間というだけでなく、元いた会社とは組織の規模や、業務の範囲など何もが違います。浪江町役場は200人規模の組織なので、この場所で組織全体に対して何か成果を出せたとすれば、会社に戻った後でも何かできるという自信につながると思います。僕の任期は2年間で、会社に戻るのはまだまだ先になりますが、自身のこの先の変化についても楽しみです。

(2013年9月15日取材)

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