WORK FOR にっぽん(旧(WORK FOR 東北) - ともに働く。ともに育つ。

日本財団

人事部門としてCSR経営を実践する TOTO株式会社 執行役員 コーポレートグループ、法務本部担当、人財本部長 成清雄一氏 人財本部 キャリア支援室長 城之下洋氏

4月1日から福島県双葉町と川内村、宮城県女川町に計3名の派遣を決めました。人材派遣に踏み切った背景や経緯を教えてください。

イノベーションを生み出すには多様な人材が不可欠、と成清さん。福島県川内村に派遣される安永さんと

イノベーションを生み出すには多様な人材が不可欠、と成清さん。福島県川内村に派遣される安永さんと

成清 復興庁からお声がけいただいたことが最初のきっかけですが、主に3つのポイントから今回の派遣を決めました。

1つめは、CSR経営を掲げる当社の企業姿勢にマッチすると考えたためです。弊社では、これまで「事業そのものが社会に役立つ」との考えで「TOTO GREEN CHALLENGE」というビジョンのもとに各部門で「商品・サービス」「ものづくり」「社会貢献」の3つの貢献軸で、様々な活動を行ってきました。復興支援現場への派遣は、これから4年目を迎える復興の道のりにおいて、大きな意味があると思います。

2つめに、人財戦略の観点からも派遣が絶好の機会になると考えました。当社では、創造力豊かな自律した人財の継続的な育成を目指して各種の社員研修を行っており、とくにダイバーシティの視点から女性社員の育成にも力を入れています。派遣する3名のうち1人は、30~40代の女性社員を対象に課題解決力などを磨く「女性ステップアップ研修」をきっかけに応募を決めました。社内の人財研修と派遣の機会がうまくつながった例といえます。

3つめは、社員のモチベーションを高めたいという思いです。事業と関係ないところに2年間飛び込むことで、成長したいという自分の期待に答える機会になるでしょうし、復興支援への貢献がやりがいや達成感につながるはずです。こうした点からも、「WORK FOR 東北」のスキームが自律した人財育成の一環として位置づけられると思いました。

3名もの派遣、意思決定は難しくなかったでしょうか?

成清 当社の経営理念として社会貢献を目指すという考えは社内で明確になっており、震災後は会社として、また個人として被災地支援の活動をし、その報告を社内で共有する取り組みも行っています。こうしたものが、今回派遣に踏み切った背景にあります。

人財戦略の観点から補足しますと、当社の商品としてはウォシュレットのイメージが強いかと思いますが、ウォシュレットのようなイノベーションを起こすには、ダイバーシティが重要です。今までにないものを作るだけではなく、仕事のやり方も変革する必要があります。同じ人が同じ仕事を続けていてもイノベーションは起こりません。その意味で、今回派遣する3人は当社では絶対にできない経験ができるので、帰ってきて会社の中をぐちゃぐちゃにかき混ぜてもらいたいですね。当社では4年前から、経済産業省や国土交通省との間で官民人事交流を行っています。省庁の方が扱っている内容が幅広かったり、また意思決定の仕方が違ったりという点で社員は刺激を受けて帰ってきているので、今回も期待をしています。

派遣される社員はどのように選ばれましたか。

城之下 私の所属する人財活性化推進室は人財の流動化による活性化をめざしていますが、通常の異動希望には上司の承認が必要です。しかし、今回の派遣については承認が不要の公募制を導入し、想いを持った社員が自由に応募できるようにしました。

社内のイントラネットのトップ画面で大きく周知したところ合計7名の応募がありました。1カ月の募集期間終了間際の駆け込みが多く、現業との兼ね合いや2年の派遣を終えた後のキャリアについて、慎重に検討してから応募してくれたのでしょう。

役員や人事担当者などで面談をして、復興支援への思いの強さ、東日本に限らず震災復興の経験、現地とのかかわり、これまでのキャリアと現地業務の兼ね合いなどを見て、最終的に3名に絞りました。

また、ダイバーシティという観点から、送り出す社員にも多様性があった方がいいだろうと考えました。そこで、技術・企画・営業から一人ずつになりました。男性2人が50代と40代、そして女性1人と年代・性別も多様になっています。

「女性ステップアップ研修」をきっかけに応募してくれた女性社員は、研修で自分とは異なる立場、年齢、キャリアの人と会い、違った世界で自分を磨いた方が会社に貢献できると考えてくれたようです。研修では異なる部署との交流で得るものが大きかったようですが、今回の派遣でも自治体で働いた経験を持ち帰り、生かしてほしいですね。

派遣期間中の人事評価はどうする予定ですか。

城之下 日ごろは半年ごとに業績評価を行っています。出向の場合、通常の基準をそのまま当てはめることはできませんが、派遣先の担当者に様子を聞いて、変則的ながらも評価の仕組みは継続する予定です。そのほうが社員本人のやりがいにつながりますし、社として貢献度合いを測ることも必要です。

フォロー体制はどのように考えていますか。

CSR経営について強調する城之下さん。手前は女川町へ派遣される松田さん

CSR経営について強調する城之下さん。奥は女川町へ派遣される松田さん

城之下 派遣後のルーチンに関わる部分は、基本的には仙台にある東北支社に担ってもらいます。
一方で人財部門としては初期段階での行き違い(聞いていた話と業務内容が違うなど)、の調整や、着任後の定期的なミーティング開催によるフォローを行います。支社と人財部門で連携して発生する問題を、タイムリーに解決していきたいと思っています。

今回の派遣について、社としてどのような期待をしていますか。

成清 東日本大震災はあまりにも大規模だったので、支援は継続性が最も大切です。今回の派遣期間は2年ですが、こういった取り組みをいかに継続させていくのか。派遣から帰ってこないと分からない部分は多いですが、継続した被災地支援は当社のポリシーでもあるので、長く続けていきます。

また3人が東北で活躍している姿は、社内で共有したいと考えています。社員に向けて、被災地の継続した支援が必要だと改めて周知するきっかけにもなると思います。

城之下 何より本人の意思が大切ですから、復興支援に貢献したいという思いを貫いて、ぜひ頑張ってほしいですね。現地に入れば入るほど、どこが困っているのか見えてくるはずです。それを会社と共有してもらえれば、たとえば復興に向けた募金の使途判断に役立てることもできます。当社では震災以降、継続的な募金を行っていますが、できるだけ現場に近い活動を応援したいと考えています。双葉町に派遣される社員は、「支援の気持ちを風化させたくない」と応募動機を語っていました。ぜひ、その言葉どおり、会社に現場の生の声を伝えてほしいですね。

さらに、自己成長の機会としても期待できるでしょう。スキルや知識の習得なら会社の業務を通じてもできます。でも、これまでとまったく違う仕事を通して、土壇場に追い込まれたとき、自分も気づいていない潜在能力が開花することが期待できます。このような研修は他にはないでしょう。これは自立した人財を育てるという社の教育方針とも重なります。「ずいぶん変わったね」といわれるような成長を遂げて戻ってきて、その能力を社の業務に生かしてもらえたら素晴らしいですね。

(2014年2月20日取材)

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